「ターゲットが頻繁に通る場所はわかったが、そこは単なる『通り道』なのか、それとも重要な意味を持つ『目的地』なのか?」
「空間全体の行動傾向だけでなく、特定のエリアへの関心の示し方まで可視化したい」
このような、行動の「目的」と「手段」を区別したいという高度な分析ニーズに応えるのが、Be-Chaseに搭載された3種類のヒートマップ機能です。
これまでの記事で「滞在時間ヒートマップ」や「チェックエリア」について解説してきましたが、本記事ではBe-Chaseが提供する全てのヒートマップを網羅的に解説します。それぞれのヒートマップが何を可視化し、どう使い分けるべきかを理解することで、あなたの行動分析は新たな次元へと進化します。
一目でわかる!3種類のヒートマップの概要と使い分け
Be-Chaseのヒートマップは、それぞれ異なる側面から行動を可視化します。まずは、その違いを一覧で確認しましょう。
| ヒートマップの種類 | 計測しているもの | 色が濃い(赤い)場所が意味すること | 分析の目的・使い分け |
|---|---|---|---|
| 滞在時間ヒートマップ | 各地点での滞在時間の長さ | 長時間留まっていた場所(巣、餌場など) | ターゲットが「どこで」時間を過ごしているかを知りたい時 |
| 軌跡密度ヒートマップ | 各地点を軌跡が通過した回数 | 何度も繰り返し通った場所(主要な移動経路) | ターゲットが「どのようなルートで」移動しているかを知りたい時 |
| チェックエリア入退出ヒートマップ | チェックエリア境界を通過した地点と回数 | 頻繁に出入りしたエリアの境界地点 | 特定のエリアに「どのように」相互作用しているかを知りたい時 |
各ヒートマップの詳細解説
1. 滞在時間ヒートマップ:「目的地」を特定する
- 何を示しているか?: 各エリアにターゲットが「どれくらいの時間滞在したか」を示します。長時間滞在した場所ほど赤くなります。
- どう役立つか?: 巣、餌場、休息場所など、ターゲットが好んで時間を過ごす「お気に入りの場所」や「目的地」を特定するのに非常に有効です。行動全体の空間利用の偏りを直感的に把握できます。

滞在時間ヒートマップについては『Be-Chase滞在時間ヒートマップ活用術:行動の偏りを「見える化」し、研究を加速させる』で詳細を解説しています。
2. 軌跡密度ヒートマップ:「主要な移動ルート」を明らかにする
- 何を示しているか?: 各エリアをターゲットの軌跡が「何回通過したか」を示します。通過回数が多いほど赤くなります。
- どう役立つか?: 頻繁に使われる「通り道」や「主要な移動ルート」を特定するのに役立ちます。滞在時間ヒートマップでは見えにくい、目的地間を結ぶ「廊下」や「道路」のような経路を明らかにします。

3. チェックエリア入退出ヒートマップ:「関心の示し方」を分析する
- 何を示しているか?: 事前に設定した「チェックエリア」の境界を、ターゲットが「どこから出入りしたか」その地点と頻度を可視化します。
- どう役立つか?: 特定のエリア(例:新規オブジェクト周辺)への関心の示し方を分析するのに特化しています。エリアへの特定の「入口」があるのか、それとも境界全体からランダムに出入りしているのかを確認できます。

チェックエリアについては『滞在時間・進入回数をエリア別に数値化|Be-Chaseのチェックエリア分析活用術』で詳細を解説しています。
3種ヒートマップ複合解析の真価|滞在時間×軌跡密度×入退出
今回ご紹介したヒートマップを単体で見るのではなく、組み合わせて解釈することで、行動の解像度は飛躍的に向上します。
- 滞在時間「高」 & 軌跡密度「低」
- 解釈: 長時間滞在するが、あまり頻繁には訪れない場所。
- 例: 安全な隠れ家、満腹時に利用する休息場所など。
- 滞在時間「低」 & 軌跡密度「高」
- 解釈: 滞在はしないが、何度も繰り返し通過する場所。
- 例: 巣と餌場を結ぶ主要な移動経路、「廊下」のような場所。
- 滞在時間「高」 & 軌跡密度「高」
- 解釈: 頻繁に訪れ、かつ長時間滞在する場所。
- 例: 非常に重要な餌場など、ターゲットの活動の中心地(ハブ)。
さらに、チェックエリア入退出ヒートマップを併用すれば、その活動の中心地に対して、どの方向からアプローチすることが多いのか、といった周辺環境との関係性まで深く理解できます。
本記事のまとめ
Be-Chaseが提供する3種類のヒートマップは、それぞれが行動の異なる側面を照らし出す独自のレンズです。
- 滞在時間ヒートマップで「目的地(点)」を特定し、
- 軌跡密度ヒートマップでそこに至る「移動ルート(線)」を明らかにし、
- チェックエリア入退出ヒートマップで目的地との「相互作用(境界)」を分析する。
これらのレンズを使い分ける、あるいは重ね合わせることで、これまで漠然としか捉えられなかったターゲットの行動戦略を、客観的かつ多角的に解き明かすことができます。あなたの研究に、最適な「視点」を取り入れてみませんか?

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